データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価

ソフトウェアとキャリアメディア

データの記録媒体には、「フロッピーディスク」「DVD」「USBメモリ」など、など………
いろいろありますが、課税価格はどのようになるのでしょうか。
関税定率法基本通達に、次のような規定があります。
①ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別されている場合………「キャリアメディアのみ」の価格
②キャリアメディアの価格=「キャリアメディア自体の価格」+「記録費用」+………。
なお、「キャリアメディア」とは、ソフトウェアを書き込む「磁気ディスク」等をいいます。
しかし!
集積回路、半導体及び類似のデバイス並びにこれらの回路やデバイスを組み込んだ物品を含まない」!
とされています。
さらに、「ソフトウェア」とは、計算機プログラム、データ処理機器に使用されるデータをいいます。
しかし!!
サウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まない」!!
とされています。
それでは、具体例を見てみましょう。

【通関士試験(35回)改題】

次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。
1 パソコン販売業者Aは、I国の輸出者Xからコンピュータ用プログラムが記録されたフロッピーディスク10,000枚を輸入した。
2 Xの販売価格は、FOB価格で1枚当たり5,000円であり、その内訳は次のとおりである。
   プログラム自体の費用……………………………………… 4,700円
   フロッピーディスク本体の価格……………………………… 100円
   フロッピーディスクへのプログラムの記録費用…………… 150円
   フロッピーディスクの梱包費用…………………………… … 50円

【解答】

ソフトウェアの価格とキャリアメディアの価格とが区別されているので、①により、「キャリアメディアのみ」の価格となり、さらに②により、「記録費用」等を加算しますので、解答は次のようになります。
10,000枚×(100円+150円+50円)=3,000,000円
さらに、もう一問。

【通関士試験(36回)改題】

次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。
1 輸入者M(買手)は、H国の輸出者X(売手)から映画を記録したDVD-ROMを10,000枚輸入した。
2 Xの販売価格は、FOB価格で1枚当たり6,600円であり、その内訳は次のとおりである。
   DVD-ROMに記録されているソフトウェアとしての映画自体の価格………5,000円
   DVD-ROM本体の価格……………………………………………………………1,000円
   DVD-ROMへの映画の記録費用……………………………………………………500円
   DVD-ROMの梱包費用………………………………………………………………100円

【解答】

ソフトウェアの価格とキャリアメディアの価格とが区別されているので………と、思ったけれども、「ソフトウェア」には、「サウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まない」! がありましたね。
なので、「データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価」の適用は無く、解答は次のようになります。
10,000枚×6,600円/枚=3,000,000円
最後に、もう一問。

【予想問題】

次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。
1 パソコン販売業者Aは、F国の輸出者Xからコンピュータ用プログラムが記録されたUSBメモリ1,000個を輸入した。
2 Xの販売価格は、FOB価格で1個当たり2,000円であり、その内訳は次のとおりである。
   プログラム自体の費用……………………………… 1,350円
   USBメモリ本体の価格……………………………… 500円
   USBメモリへのプログラムの記録費用…………… 100円
   USBメモリの梱包費用…………………………………50円

【解答】

「キャリアメディア」には、「集積回路、半導体及び類似のデバイス並びにこれらの回路やデバイスを組み込んだ物品を含まない」! がありましたね。
なので、「データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価」の適用は無く、解答は次のようになります。
1,000個×2,000円/個=2,000,000円
今回は、ここまで。

【参考】

関税定率法基本通達 4―5
データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価については、次による。
(1)用語の意義
この項において用いる用語の意義は、それぞれ次による。
イ 「ソフトウェア」とは、データ処理機器の運用に関係する計算機プログラム、手順、規則又はデータ処理機器に使用されるデータをいう。ただし、サウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まない。
ロ 「キャリアメディア」とは、磁気テープ、メタルテープ、磁気ディスク、カードその他これらに類するものでソフトウェアを運搬又は貯蔵するための物品をいい、集積回路、半導体及び類似のデバイス並びにこれらの回路やデバイスを組み込んだ物品を含まない。
(2)評価上の取扱い
イ ソフトウェアを記録しているキャリアメディアの課税価格は、当該ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別される場合はキャリアメディアの価格とする。
ロ キャリアメディアの価格には、キャリアメディア自体の価格、ソフトウェアをキャリアメディアに記録するための費用等を含む。
(3)税関における確認の時期及び方法
ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別されているか否かの確認は、原則として当該キャリアメディアに係る納税申告の時、仕入書等の関係書類に基づいて行う。
(注) この項の規定は、ソフトウェアがキャリアメディア以外の貨物に記録又は内蔵されている場合の当該ソフトウェアの評価上の取扱を定めたものではない。