【条文順 通関士講座】通関士試験前日まで、あと19週(仮)

1.今回の内容

「関税定率法 ③課税価格の決定の例外」をマスターする!

・条文の確認

[関税定率法]第4条(課税価格の決定の原則)

1 略
2 輸入貨物に係る輸入取引に関し、次に掲げる事情のいずれかがある場合における当該輸入貨物の課税価格の決定については、次条から第4条の4までに定めるところによる。ただし、第4号に該当する場合において、当該輸入貨物の取引価格が、当該輸入貨物と同種又は類似の貨物(当該輸入貨物の本邦への輸出の日又はこれに近接する日に本邦へ輸出されたもので、当該輸入貨物の生産国で生産されたものに限る。)に係る前項又は第4条の3(国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定)の規定により計算された課税価格(当該輸入貨物との間の取引段階、取引数量又は同項各号に掲げる運賃等の差異その他政令で定める費用の差異により生じた価格差につき、…必要な調整を行った後の価格とし、同項の規定により計算された課税価格にあっては、第4号に規定する特殊関係のない売手と買手との間で輸入取引がされた当該輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る課税価格に限る。)と同一の額又は近似する額であることを、当該輸入貨物を輸入しようとする者が、………証明した場合を除く。
 ①買手による当該輸入貨物の処分又は使用につき制限(買手による輸入貨物の販売が認められる地域についての制限その他の政令で定める制限を除く。)があること。

その他の政令で定める制限………
①買手による輸入貨物の販売が認められる地域についての制限(次号に該当するものを除く。)
②買手による輸入貨物の処分又は使用についての制限で法令により又は国若しくは地方公共団体により課され又は要求されるもの
③その他買手による輸入貨物の処分又は使用についての制限で当該輸入貨物の取引価格に実質的な影響を与えていないと認められるもの

 ②当該輸入貨物の取引価格が当該輸入貨物の売手と買手との間で取引される当該輸入貨物以外の貨物の取引数量又は取引価格に依存して決定されるべき旨の条件その他当該輸入貨物の課税価格の決定を困難とする条件が当該輸入貨物の輸入取引に付されていること。
 ③買手による当該輸入貨物の処分又は使用による収益で直接又は間接に売手に帰属するものとされているものの額が明らかでないこと。
 ④売手と買手との間に特殊関係(一方の者と他方の者とがその行う事業に関し相互に事業の取締役その他の役員となっていることその他政令で定める一方の者と他方の者との間の特殊な関係をいう。)がある場合において、当該特殊関係のあることが当該輸入貨物の取引価格に影響を与えていると認められること。

特殊関係………
①一方の者と他方の者とがその行う事業の法令上認められた共同経営者である場合
②いずれか一方の者が他方の者の使用者である場合
③いずれか一方の者が他方の者の事業に係る議決権を伴う社外株式の総数の5%以上の社外株式を直接又は間接に所有し、管理し、又は所持している場合
④いずれか一方の者が他方の者を直接又は間接に支配している場合(前号に該当する場合を除く。)
⑤一方の者と他方の者との事業に係る議決権を伴う社外株式の総数のそれぞれ5%以上の社外株式が同一の第三者によって直接又は間接に所有され、管理され、又は所持されている場合
⑥一方の者と他方の者とが同一の第三者によって直接又は間接に支配されている場合(前号に該当する場合を除く。)
⑦一方の者と他方の者とが共同して同一の第三者を直接又は間接に支配している場合
⑧一方の者と他方の者とが親族関係にある場合

3 略

 

[関税定率法]第4条の2(同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定)

1 前条第1項の規定により輸入貨物の課税価格を計算することができない場合又は同条第2項本文の規定の適用がある場合において、当該輸入貨物と同種又は類似の貨物(当該輸入貨物の本邦への輸出の日又はこれに近接する日に本邦へ輸出されたもので、当該輸入貨物の生産国で生産されたものに限る。以下「同種又は類似の貨物」という。)に係る取引価格(前条第1項の規定により課税価格とされたものに限る。)があるときは、当該輸入貨物の課税価格は、当該同種又は類似の貨物に係る取引価格(これらの取引価格の双方があるときは、同種の貨物に係る取引価格)とする。この場合において、同種又は類似の貨物に係る取引価格は、当該輸入貨物の取引段階と同一の取引段階及び当該輸入貨物の取引数量と実質的に同一の取引数量により輸入取引がされた同種又は類似の貨物(同一の取引段階及び同一の取引数量による同種又は類似の貨物)に係る取引価格とし、当該輸入貨物と当該同一の取引段階及び同一の取引数量による同種又は類似の貨物との間に運送距離又は運送形態が異なることにより輸入港までの運賃等に相当の差異があるときは、その差異により生じた価格差につき、………必要な調整を行った後の取引価格とする。
2 前項に規定する同一の取引段階及び同一の取引数量による同種又は類似の貨物に係る取引価格がない場合には、同項に規定する同種又は類似の貨物に係る取引価格は、取引段階又は取引数量の差異及び輸入港までの運賃等の差異による当該輸入貨物と当該同種又は類似の貨物との間の価格差につき、………必要な調整を行った後の同種又は類似の貨物に係る取引価格とする。

 

[関税定率法]第4条の3(国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定)

1 前二条の規定により輸入貨物の課税価格を計算することができない場合において、当該輸入貨物の国内販売価格(関税法第73条第1項(輸入の許可前における貨物の引取り)の規定により税関長の承認を受けて引き取られた当該輸入貨物の国内販売価格を含む。)又は当該輸入貨物と同種若しくは類似の貨物(当該輸入貨物の生産国で生産されたものに限る。)に係る国内販売価格があるときは、当該輸入貨物の課税価格は、次の各号に掲げる国内販売価格の区分に応じ、当該各号に定める価格とする。ただし、第2号の規定の適用については、第1号の規定を適用することができない場合で、かつ、当該輸入貨物を輸入しようとする者が第2号の規定の適用を希望する旨を税関長に申し出た場合に限るものとする。
 ①その輸入申告の時(関税法第四条第一項各号(課税物件の確定の時期)に掲げる貨物にあっては、当該各号に定める時。以下この号及び次号において「課税物件確定の時」という。)における性質及び形状により、当該輸入貨物の課税物件確定の時の属する日又はこれに近接する期間内に国内における売手と特殊関係のない買手に対し国内において販売された当該輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物に係る国内販売価格 当該国内販売価格から次に掲げる手数料等の額を控除して得られる価格
  イ 当該輸入貨物と同類の貨物(同一の産業部門において生産された当該輸入貨物と同一の範疇に属する貨物をいう。次項において同じ。)で輸入されたものの国内における販売に係る通常の手数料又は利潤及び一般経費(ロに掲げる費用を除く。)
  ロ 当該国内において販売された輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物に係る輸入港到着後国内において販売するまでの運送に要する通常の運賃、保険料その他当該運送に関連する費用
  ハ 当該国内において販売された輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物に係る本邦において課された関税その他の公課
 ②課税物件確定の時の属する日後加工の上、国内における売手と特殊関係のない買手に対し国内において販売された当該輸入貨物の国内販売価格 当該国内販売価格から当該加工により付加された価額及び前号イからハまでに掲げる手数料等の額を控除して得られる価格
2 前項の規定により当該輸入貨物の課税価格を計算することができない場合において、当該輸入貨物の製造原価を確認することができるとき(当該輸入貨物を輸入しようとする者と当該輸入貨物の生産者との間の当該輸入貨物に係る取引に基づき当該輸入貨物が本邦に到着することとなる場合に限る。)は、当該輸入貨物の課税価格は、当該輸入貨物の製造原価に当該輸入貨物の生産国で生産された当該輸入貨物と同類の貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費並びに当該輸入貨物の輸入港までの運賃等の額を加えた価格とする。
3 当該輸入貨物の製造原価を確認することができる場合において、当該輸入貨物を輸入しようとする者が希望する旨を税関長に申し出たときは、第1項の規定に先立って前項の規定により当該輸入貨物の課税価格を計算するものとする。

 

[関税定率法]第4条の6

1 第4条から第4条の4までの規定により課税価格を計算する場合において、当該輸入貨物が航空機により運送された貨物であるときは、これらの貨物のうち、無償の見本(航空機による運賃及び保険料により計算した場合の課税価格が少額であるものとして政令で定める額を超えないものに限る。)又は災害の救助、公衆の衛生の保持その他これらに準ずる目的のため緊急に輸入する必要があると認められる貨物その他これらに類する貨物で政令で定めるものについての輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によるものとする。

・少額貨物として政令で定める額………20万円
・政令で定める貨物………
 ①外国に住所を有する者(外国に本店又は主たる事務所を有する法人を含む。)から本邦に住所を有する者にその個人的な使用に供するため寄贈された物品で、航空機による運賃及び保険料に基づいて算出した課税価格の総額が10万円以下のもの
 ②ニュース写真、ニュースフィルム又はニューステープで、時事に関する記事を掲載する一般的日刊新聞の掲載用、ニュース映画の上映用又はラジオ若しくはテレビジョンの放送用に供するもの及び新聞の紙型
 ③本邦において航空運送事業を営む者が当該事業に使用するため輸入する航空機用品、航空機整備用品及び事務用品で、その者の当該事業に使用する航空機によって運送されたもの
 ④本邦に住所を移転するため以外の目的で本邦に入国する者がその入国の際に携帯して輸入し、又は………別送して輸入する物品(自動車、船舶及び航空機を除く。)のうち、その個人的な使用に供するもの及び職業上必要な器具(無条件免税の規定により関税の免除を受けることができるこれらのものを除く。)で、航空機による運賃及び保険料に基づいて算出した課税価格の総額が20万円以下のもの
 ⑤本邦に住所を移転するため本邦に入国する者がその入国の際に輸入し、又は………別送して輸入する物品(自動車、船舶及び航空機を除く。)のうち、その者又はその家族の個人的な使用に供するもの及び職業上必要な器具(無条件免税の規定により関税の免除を受けることができるこれらのものを除く。)で、航空機による運賃及び保険料に基づいて算出した課税価格の総額が20万円以下のもの
 ⑥輸入貨物に係る契約において航空機による運送以外の運送方法により運送されることとされていた貨物で、当該貨物の製作の遅延その他その輸入者の責めに帰することができない理由により当該貨物の本邦への到着が遅延し又は遅延するおそれが生じたため、その輸入者以外の者が運送方法の変更に伴う費用を負担することにより航空機によって運送されたもの
⑦修繕又は取替えのため無償で輸入される物品

 第4条から第4条の4までの規定により課税価格を計算する場合において、当該輸入貨物が、本邦に入国する者により携帯して輸入される貨物その他その輸入取引が小売取引の段階によるものと認められる貨物で、当該貨物の輸入者の個人的な使用に供されると認められるものであるときは、当該輸入貨物の課税価格は、当該貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格とする。当該輸入貨物が、本邦に居住する者に寄贈される貨物で、当該寄贈を受ける者の個人的な使用に供されると認められるものであるときも、同様とする。

 

2.確認問題

【第1問】45回 関税法 5問

 次の記述は、関税定率法第4条の2に規定する同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定に関するものであるが、(   )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。

1 輸入貨物と同種又は類似の貨物は、当該輸入貨物の本邦への( イ )の日又はこれに近接する日に本邦へ( イ )されたもので、当該輸入貨物の( ロ )国で( ロ )されたものに限られる。
2 同種又は類似の貨物に係る取引価格は、当該輸入貨物の取引( ハ )と同一の取引( ハ )及び当該輸入貨物の取引( ニ )と実質的に同一の取引( ニ )により( ホ )がされた同種又は類似の貨物に係る取引価格とされ、輸入港までの運賃等に相当の差異があるときは、その差異により生じた価格差について必要な調整を行った後の取引価格とされている。

①加工、②関係、③事実、④条件、⑤数量、
⑥生産、⑦段階、⑧当事者、⑨同種の取引、⑩同種又は類似の取引、
⑪販売、⑫引渡し、⑬輸出、⑭輸入、⑮輸入取引

 

【第2問】53回 関税法 12問

 次の記述は、関税定率法第4条から第4条の4までの規定により課税価格を計算する場合における、同法第4条の6第1項に規定する航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。

1 航空機により運送された輸入貨物のうち、当該輸入貨物に係る契約において航空機による運送以外の運送方法により運送されることとされていた貨物で、当該貨物の輸入者の責めに帰することができない理由により当該貨物の本邦への到着が遅延し又は遅延するおそれが生じたため、その輸入者以外の者が運送方法の変更に伴う費用を負担することにより航空機によって運送されたものについての輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によるものとされている。
2 航空機により運送された輸入貨物のうち、無償の見本であって、その航空機による運賃及び保険料により計算した場合の課税価格が 30 万円のものについての輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によるものとされている。
3 航空機により運送された輸入貨物のうち、外国に住所を有する者(外国に本店又は主たる事務所を有する法人を含む。)から本邦に住所を有する者にその個人的な使用に供するため寄贈された物品で、航空機による運賃及び保険料に基づいて算出した課税価格の総額が20万円のものについての輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によるものとされている。
4 航空機により運送された輸入貨物のうち、本邦に住所を移転するため以外の目的で本邦に入国する者がその入国の際に携帯して輸入する物品(自動車、船舶及び航空機を除く。)のうち、その個人的な使用に供するもの(関税定率法第14条第 7 号(無条件免税)の規定により関税の免除を受けることができるものを除く。)で、航空機による運賃及び保険料に基づいて算出した課税価格の総額が20万円のものについての輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によるものとされている。
5 航空機により運送された輸入貨物のうち、修繕のため無償で輸入される物品についての輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によるものとされている。

 

【第3問】54回 関税法 24問

 次の記述は、関税定率法第4条の2に規定する同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定及び同法第4条の3に規定する国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定により輸入貨物の課税価格を計算する場合に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。

1 関税定率法第4条の3の規定により輸入貨物の課税価格を当該輸入貨物の国内販売価格に基づき決定する場合には、その国内において販売された輸入貨物に係る輸入港到着後国内において販売するまでの運送に要する通常の運賃、保険料その他当該運送に関連する費用の額は、当該国内販売価格から控除されない。
2 関税定率法第4条の3の規定により輸入貨物の課税価格を決定する場合において、当該輸入貨物の製造原価を確認することができる場合には、当該輸入貨物を輸入しようとする者が希望する旨を税関長に申し出たときは、当該輸入貨物又は当該輸入貨物と同種若しくは類似の貨物に係る国内販売価格に基づく課税価格の決定に先立って、当該輸入貨物の製造原価に基づく課税価格の決定によるものとされている。
3 関税定率法第4条の3の規定により輸入貨物の課税価格を決定する場合において、当該輸入貨物の課税物件の確定の時における性質及び形状により、当該輸入貨物の課税物件の確定の時の属する日に近接する期間内に国内において販売された当該輸入貨物と同種の貨物に係る国内販売価格があるときは、その販売が国内における売手と特殊関係のある買手に対しされたものであっても、当該国内販売価格に基づき課税価格を計算することができる。
4 関税定率法第4条の2の規定により輸入貨物の課税価格を決定する場合において、当該輸入貨物と同種の貨物に係る取引価格及び当該輸入貨物と類似の貨物に係る取引価格の双方があるときは、これらの取引価格のうち低いものに基づき課税価格を計算することとされている。
5 関税定率法第4条の2の規定により輸入貨物の課税価格を当該輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る取引価格により決定する場合における取引価格は、当該輸入貨物の本邦への輸出の日又はこれに近接する日に本邦へ輸出された貨物に係る取引価格とされており、当該輸出された貨物が当該輸入貨物の生産国で生産されたものであることを要しない。

 

3.次回の内容

「関税定率法 ④特殊関税」をマスターする!

 

4.参考動画

ありません。